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通勤災害の認定基準

 通勤災害とは、通勤による災害、すなわち職員が、勤務のため(1)住居と勤務場所との間の往復、(2)勤務場所から他の勤務場所への移動、(3)(1)の往復に先行し又は後続する住居間の移動を、合理的な経路及び方法により行うこと(公務の性質を有するものを除く。)に起因する災害をいいます。したがって、その移動の経路を逸脱し、又はその移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動中の災害は、通勤災害とはされません。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、当該逸脱又は中断の間に生じた災害を除き、通勤災害とされます。

 具体的な通勤の範囲は、次のとおりです。

用語 解説
「勤務のため」 勤務に就くため、又は勤務を終了したことにより行われる移動をいうものです。すなわち、当該移動が、全体としてみて、勤務と密接な関連性をもって行われるものをいいます。したがって、通常の勤務のための移動のほか、公務災害扱いとなるレクリエーション(地方公務員法第42条の規定に基づき、任命権者が計画し、実施したレクリエーション等任命権者の支配管理の下に行われたレクリエーションをいう。)に参加するための移動などがこれに該当しますが、勤務終了後、当該勤務公署で、相当時間にわたり私用を弁じた後帰宅する場合などは、勤務との直接的関連性が失われるので、勤務のためとは認められません。
「住居」 職員が居住して日常生活の用に供している生活の本拠としての家屋のほか、勤務の都合その他特別の事情がある場合において特に設けられた宿泊の場所などをいいます。また、単身赴任者等が勤務場所と家族の住む自宅との間を移動する場合における当該自宅は、単身赴任手当の支給を受ける職員その他当該職員と均衡上必要があると認められる職員として認められる合理的な理由があり、かつ、当該移動に反復・継続性が認められる場合には、これに該当します。
「勤務場所」 職員が職務を遂行する場所として、明示又は黙示の指定を受けた場所をいいます。この場合、通常の勤務公署のほか、外勤職員の外勤先などもこれに該当するものです。
「合理的な経路及び方法」 社会通念上、地公災法第2条第2項各号に掲げる移動を行う場合に、一般に、職員が用いると認められる経路及び方法をいいます。したがって、定期券による経路、通勤届による経路などのほか、当日の交通事情によりやむを得ず迂回する経路、自動車通勤者がガソリン補給のために迂回する場合などの通勤に伴う合理的必要行為のための経路などは、合理的経路に該当しますが、特別の事情がなく著しく遠回りとなる経路などは、合理的とは認められません。また、電車、バスなどの公共交通機関の利用、自家用自動車などの使用、徒歩による場合など通常通勤に利用する方法は合理的な方法に該当しますが、運転免許を受けていない者の運転する自動車を利用する場合などは、合理的な方法とは認められません。
「逸脱又は中断」 通勤とは関係のない目的で合理的な経路からそれることをいい、「中断」とは、合理的な経路上において、通勤目的から離れた行為を行うことをいいます。したがって、通勤の途中で観劇などをする場合は、逸脱又は中断に該当し、当該逸脱又は中断後は勤務のための通勤とはみなされません。ただし、当該逸脱又は中断が、次の項で説明する「日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるもの」に該当する行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、当該逸脱又は中断の間に生じた災害を除き通勤災害とされます。なお、経路上の店で、タバコ、雑誌などを購入する場合や通勤に伴う合理的必要行為は、逸脱又は中断には当たりません。
「日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるもの」 (1)「日用品の購入その他これに準ずる行為」とは、飲食料品、衣料品、家庭用燃料品など、職員又はその家族が日常生活の用に充てるものであって、日常しばしば購入するものを購入する行為、又は家庭生活上必要な行為であり、かつ、日常行われ、所要時間も短時間であるなど、前記日用品の購入と同程度に評価できる行為をいいます。したがって、日用品の購入のほか、独身職員が通勤途中で食事をする場合、理髪店、美容院へ行く場合などがこれに該当します。
(2)「学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育、職業能力開発促進法第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するものを受ける行為」とは、高等学校、大学、高等専門学校等において行われる教育を受ける行為、国、都道府県及び市町村並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センター及び障害者職業能力開発校において行われる職業訓練を受ける行為のほか、学校教育法第124条の専修学校における教育及び職業能力開発促進法第27条の職業能力開発総合大学校における職業訓練を受ける行為又はこれらと同程度に評価できる行為をいいます。
(3)「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」とは、病院又は診療所において通常の比較的短時間の診療を受ける行為に限られず、人工透析など比較的長時間を要する行為をも含むほか、施術所において、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の施術を受ける行為をも含むものです。
(4)「選挙権の行使その他これに準ずる行為」とは、国政選挙及び地方選挙における選挙権の行使のほか、最高裁判所裁判官の国民審査権の行使、住民の直接請求権の行使等の行為がこれに該当します。

通勤災害の対象となる通勤の範囲事例

事項 通勤災害とする事例 通勤災害としない事例
勤務のため ・通勤の途中で作業衣、定期券等、勤務又は通勤に関係あるものを忘れたことに気付き、これを取りに戻る場合
・交通途絶、スト等の交通事情により、許可を受けて引き返す場合
・レクリエーション(公務災害と認定される場合に限る。)に参加する場合
・次の勤務時間までの間に相当の間隔がある場合において、住居との問を往復する場合
・遅刻して出勤し、又は早退する場合(勤務時間中に私用で帰るのは動務を終了して帰る場合とは認められないので通勤としない。)
・単身赴任者が月曜日からの勤務に備え、日曜日に帰省先住居から赴任先住居に移動する場合
・出勤途中で自己都合により引き返す場合
・休日等に勤務公署の運動施設を利用するため住居と勤務公署との間を往復する場合
・任意参加の親ぼく会等に参加する場合
・勤務終了後相当時間にわたり囲碁、将棋等私用を弁じた後帰宅する場合
・単身赴任者が日躍日の私的な用事のため、土曜日に帰省先住居から赴任先住居に移動する場合(勤務日が月曜日の場合)
住居 ・家族と共に生活している家等、通常助務のための出勤の始点
・単身赴任者が家族の住む家から反復・継続性をもって通勤する場合の家族の住む家
・通常の勤務のために、又は長時間の残業、早出出勤等に備えて設けた宿泊場所
・交酒事情等のために一時宿泊する旅館、ホテル等
・家族が長期入院し看病する必要がある場合の病院
・台風等で選難した場所から出勤する場合の当該避難場所
・地方出身者の一時的帰省先
・単身赴任者が年末年始のみ家族と共に過ごす場合の家族の住居
・家族と共に郷里の実家に行き、そこから出勤する場合の当該実家
勤務場所 ・通常の勤務提供の場所
・レクリエーション(公務災害と認定される場合に限る。)の場所
・同僚との懇親会、同僚の送別会の会場
合理的な経路 (1)経路の合理的解釈によるもの
・定期券による経路、通勤届による経路
・定期券による経路ではないが、通常これと代替することが考えられる経路
(2)通勤事情によるもの又は通勤に伴う合理的必要行為
・経路上の遣路工事等、当日の交通事情によりやむを得ず迂回する経路
・事故、スト等の場合の代替輸送機関による経路
・座席確保や急行列車利用のため1~2駅戻る経路
・誤って1~2駅乗り越して戻る経路
・乗降駅以外の駅へ定期券を購入しに行く経路
・通常の経路を少し離れた場所にある便所に行く経路
・自動車通勤の者がガソリン補給のためにガソリンスタンドに立ち寄る経路
・自動車通勤の者がその自動車の修理のため最小限度の迂回をする経路
(3)その他
・共稼ぎの職員が子供を託児所に連れて行く経路
・交通事情によらず、著しく遠回りとなる経路
合理的な方法 ・電車、バス等公共交通機関を利用する場合
・自家用自動車(友人のものに同乗する場合を含む。)自転車等を使用する場合
・徒歩による場合
・連転免許を受けていない者の運転する自動車を利用する場合
・飲酒運転又はそれを知りながら同乗する場合
事項 逸脱又は中断に該当するが、日常生活上必要な行為であって務省令で定めるものに該当し、経路に復したのちは通勤とする事例 逸脱又は中断に該当し、経路に復したとしても通勤とはしない事例
逸脱又は中断 (1)日用品の購入その他これに準ずる行為
[日用品の購入に該当する行為]
〇次のものを購入する行為
・パン、米、酒類等の飲食料品
・家庭用薬品
・下着、ワイシャツ、背広、オーバー等の衣料品
・石油等の家庭用燃料品
・身廻り品
・文房具、書籍等
・電球、台所用品等
・子供の玩具
[日用品の購入に準ずる行為]

〇独身職員が通勤途中で食事をする場合
〇クリーニング店に立ち寄る場合
〇理髪店、美容院に行く場合
〇テレビ、冷蔵庫等の修理を依頼しに行く場合
〇税金、光熱水費等を支払いに行く場合
〇市役所等に住民登録、戸籍抄本等を取りに行く場合
〇単身赴任者が、帰省先住居と勤務場所間の移動又は帰省先住居と赴任先住居間の移動に際し、これらの移動に長時間要することにより、食堂で食事をする場合や目家用目動車内等で仮眠をとる場合

◎次のような事例は、逸脱又は中断とはしない

〇経路上の店で、タバコ、雑誌等を購入する場合
〇駅構内でソバ等を立食する場合
〇次のものを購入する行為
・装飾品、宝石等の奢侈品
・テレビ、冷蔵庫、ピアノ、自動車、机、たんす等の耐久消費財
・スキー、ゴルフ等のスポーツ用品


〇通勤途中で娯楽等のため麻雀、ゴルフ練習、ボーリング、料亭等での飲食等をする場合
〇観劇等のため回り道する場合
〇同僚の送別会に行く場合
〇冠婚葬祭に行く場合


(2)学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育、職業能力開発促進法第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するものを受ける行為
[学校教育法第1条に規定する学校に該当するもの]
中学校、高等学校、中等教育学校、持別支援学校、専門学校
[職業能力開発促進法第15条の7第3項に規定する公共職業能力聞発施設に該当するもの]
職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校
[上記に準する教育訓練であって職業能力の向上に資するものに該当するもの]

〇学校教育法第124条に規定する専修学校における教育
〇職業能力開発促進法第27条に規定する職業能力開発総合大学校における職業訓練
〇学校教育法第134条に規定する各種学校における教育で、一般的に職業に必要な技術に関し1年以上修業期間を定めて行われるもの
〇上記のほか、教育訓練の内容及び形態がこれらに準ずると認められる教育訓練

〇趣味又は娯楽のためのもの
(3)病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準する行為
[病院又は診療所において診察又は治療を受けることに該当する行為]
〇人工透析を受けるため病院等に立ち寄る行為
[病院又は診療所において診察又は治維を受けることに準する行為]
〇接骨、あん摩、はり、きゅう等の施術を受けるため施術所に立ち寄る行為
〇家族の見舞い等のため病院等に立ち寄る行為
(4)選挙権の行使その他これに準ずる行為
[選挙権の行使に該当する行為]
〇衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長等の選挙の投票に行く行為
[選挙権の行使に準する行為]
〇最高裁判所裁判官国民審査法の規定による最高裁判所裁判官の審査の投票に行く行為
〇地方自治法第76条、第80条又は第81条の規定による地方公共団体の議会の解散の請求、議員の解職の請求又は長の解職の請求の署名を行う行為又は投票に行く行為
〇地方自治法第74条、第75条又は第86条の規定による条例の制定、改廃の請求、事務の監査の請求又は主要公務員の解職の請求の署名を行う行為
(5)負傷、疾病又は老齢により2週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、配偶者の父母及び次に掲げる者(ロに掲げる者にあっては、職員と同居しているものに限る。)の介護(継続的に又反復して行われるものに限る。)

イ 孫、祖父母及び兄弟姉妹
ロ 職員との間において事実上子と同様の関係にあると認められる者及び職員又は配偶者との問において事実上父母と同様の関係にあると認められる者
〇歩行が不可能であり、食事や着替えにも一部介助を必要とする母の介護を行うために、母と同居している姉の住む家に立ち寄る場合
〇人に暴カをふるう、しばしば興奮し騒ぎたてる等の状況にある祖父が、施設に一時的に入所したことから、介護を行うために当該施設に立ち寄る場合
〇単に様子を見に行く場合
〇通常介護を行っている者に代わって、たまたま介護を行う場合

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