療養補償は、職員が公務災害又は通勤災害に認定された傷病についてそれが治るまで、必要な療養、又は必要な療養の費用を支給します。
この療養の範囲は、次に掲げるものであって、療養上相当と認められるものであり、その内容は個々の傷病に即して医学上、社会通念上妥当と認められるものに限られます。したがって、転医については、医療上又は勤務上の必要による場合等は原則として認められますが、例えばひとつの病院に通院していながら、被災職員の恣意によりいくつかの病院を転々として診療を受けるような場合は、医学的にその必要があると認められる場合を除いては重複診療となり、重複部分については補償の対象となりません。また、慎重を期する意味等の理由により、他の病院での再検査を行いたい旨、被災職員が希望している場合においても、当該再検査が医学的にみても相当の必要があり、社会通念上からも相当なものでなければ、療養補償の対象とはなりません。
なお、公務上HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)又はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に汚染された血液等が既存負傷部位等に付着した場合は、公務上の負傷に該当し、その部位に洗浄、消毒等の処置が行われた場合は必要な療養と認められます。
検査については、現在の医学水準からみて診療上必要な検査に限られ、診療と直接関係のない検査は必要な療養とは認められません。
なお、公務上の負傷(汚染血液が既存負傷部位等に付着した場合を含む。)により<1>B型肝炎ウイルスに感染したおそれのある場合でグロブリン製剤の投与又はこれに加えてB型肝炎ワクチンの接種が行われた場合、<2>C型肝炎ウイルスに感染したおそれのある場合、<3>ヒト免疫不全ウイルスに感染したおそれのある場合で、負傷に対する治療が終わった後(付着の場合はその部位に処置がなされた後)に検査を行った場合は、診断上又は診療上必要な検査と認められます。
診断書その他意見書等の文書料については、補償の実施上必要な文書に限られ、他の目的、例えば病気休暇届のように服務関係等に使用するものは認められません。なお、障害等級の決定に必要な診察等についても、療養補償の対象となります。
薬剤の支給については、医師が必要と認めるものに限り、原則として療養補償の対象として認められます。したがって、被災職員自ら売薬を求めた場合であっても医師が必要と認め具体的指導に基づいて行われたものは療養補償の対象となりますが、仮に医師が承知していたとしても、その必要性を認めないものについては療養補償の対象となりません。
医師が治療上必要と認めたもの又は直接治療に関係があると認められるものに限り療養補償の対象とし、療養中でなくても日常生活に一般に必要とされるような生活用品等は原則として療養補償の対象とは認められません。なお、松葉づえ、コルセット等福祉事業と重複するものであっても、治療上必要なものは療養補償の対象となります。
歯科補綴における金等の使用については、歯科補綴の効果又は技術上の特別の必要から金等を使用することを適当とする場合に限り、療養補償の対象と認められます。
<2> 温泉療法、マッサージ、はり、きゅうの施術等で医師が必要と認めたもの及び柔道整復師による施術
居宅において療養を行っている者(通勤の困難なものに限る。)に対する病院又は診療所の医師が行う計画的な医学管理
<1> 重症のため医師が常に看護師(看護師がいないためにこれに代わって看護を行う者を付した場合を含む。)の看護を要するものと認めた場合の看護料
この「看護を要するものと認めた場合」の取扱い並びに看護料、有料職業紹介機関を通じて看護師等を求めたときの紹介手数料及び看護師等の往復旅費の取扱いについては、エの(イ)の<2>と同様です。
なお、この場合における看護は、被災職員が入院している医療機関の看護要員以外の看護師等による看護であり、一定の要件を満たしていない医療機関に入院している場合には原則として必要な療養とは認められないものですが、特別な事情があると認められる場合はこの限りではありません。
また、被災職員1人につき看護師等2人以上による同時の看護の場合についても同様です。
<2> 看護師又はこれに代わって看護を行う者を得られないためにこれに代わって家族が付き添った場合は、その付添の費用
移送費についても、療養上必要、かつ、相当なものに限り療養補償の対象となり、医学上の理由もなく遠隔地の病院、診療所等へ行った場合や被災職員の恣意による転医などは対象となりません。
病院、診療所等への受診又は通院のための交通費については、合理的な経路によることが必要で、一般的には電車、バス等の交通機関の利用について認められます。タクシー等の利用は、医師の判断はもとより、被災職員の傷病の部位及び状況、地理的条件及び当該地域の交通事情等を総合的に勘案し、やむを得ずこれらの交通機関を利用しなければならなかったものと認められる場合に限り、社会通念上当該地域において妥当と認められる額の範囲内で被災職員が実際に負担した額が療養補償の対象となります。
また、やむを得ず友人等の自家用車を利用して謝礼等を支払った場合においても、同様に、社会通念上当該地域において妥当と認められる額の範囲内で、被災職員が実際に負担した額を移送費として支給します。
なお、交通費については、領収書等を徴収することができない場合が多いと思われますが、移送の事実が立証でき、かつ、当該交通機関の料金が別途立証できれば、必ずしも領収書等の添付は必要としません。
被災職員が自ら独歩できない場合の介護付添に要する費用については、給与を受けている者が付き添った場合は、付き添ったことによりその者が失った給与の額に相当する額を介護付添料として支給し、その額が国家公務員等の旅費に関する法律に定める日当の最低額に満たない場合は、その最低額に相当する額を支給します。(給与を受けていない者が付き添った場合も同様です。)
入・退院のための寝具、日用品等の運送費についても、「その他必要と認められる移送の費用」として療養補償の対象となります。
療養補償の給付方法には、次の2通りの方法があります。
基金が指定している医療機関で療養を受ける場合には、「療養の給付請求書」(記載例9参照)に所要事項を記載し、基金に提出してください。基金はこれに基づいて療養に要した費用を指定医療機関との契約に従い直接指定医療機関に支払います。
なお、指定医療機関で療養を受ける場合においても自費で費用の一部を負担した場合(看護料、移送費等)については、次に説明する直接請求の方法で基金に請求してください。
指定医療機関以外の医療機関で療養を受けた場合は「療養補償請求書」により、次の2通りの方法で請求することができます。
なお、共済組合員証等を使用して療養を受けた場合は、共済組合等が医療機関に対して支払いを行い、その支払った額について共済組合等から基金に対して返還請求がなされます。ただし、被災職員が医療機関に対し、直接支払った費用(初診料、診断書料等)については、直接請求してください。
適用 | 添付書類 | |
a | 被災職員自ら売薬を求める場合 | 医師がその理由を記載した証明書又は診断書、領収書 |
b | 被災職員自らコルセット、固定装具等の治療材料を求める場合 | 同上 |
c | 鹿補綴で金等を使用する場合 | 同上 |
d | 温泉病院、温泉診療所において治療する場合 | 医師がその理由および予定期間を記載した証明書又は診断書、領収書 |
e | マッサージ、はり等の施術をする場合 | 同上 |
f | 入院で個室又は上級室を使用する場合 | 同上 |
g | 看護を必要とする場合 | 同上 |
h | 通院に際し、医学的見地からタクシーを使用する場合 | 同上 |
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