災害補償の支給額は、療養補償及び介護補償を除いてはすべて平均給与額を基礎として、これに一定の割合、又は日数等を乗ずることによって決められます。したがって、平均給与額の正確な算定が必要になります。
この平均給与額の算定は、公務上外又は通勤災害該当、非該当の認定と異なり、基金においてではなく、実際には被災職員の所属等においてなされるものですから、特に各団体の補償事務担当者は細心の注意を払う必要があります。
平均給与額の算定の基礎となる給与の種類としては、<1>給料(給料の調整額及び教職調整額を含む。)、<2>管理職手当、<3>初任給調整手当、<4>扶養手当、<5>地域手当、<6>住居手当、<7>通勤手当、<8>単身赴任手当、<9>特殊勤務手当、<10>特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、<11>へき地手当(これに準ずる手当を含む。)、<12>農林漁業普及指導手当、<13>時間外勤務手当、<14>休日勤務手当、<15>夜間勤務手当、<16>宿日直手当、<17>管理職員特別勤務手当、<18>義務教育等教員特別手当、<19>定時制通信教育手当、<20>産業教育手当、<21>寒冷地手当及び<22>地方公営企業職員に支給される手当(臨時に支給されるもの及び3月を超える期間ごとに支給されるものを除く。)があります。
なお、地公災法による補償の対象となる常勤的非常勤職員の場合の給与は、上述の給与に相当する給与とされています。
最も基本的な算定方法で、公務上又は通勤による災害が発生した日の属する月の前月の末日から起算して過去3月間(その期間内に職員となった者については、その職員となった日までの間)に支給された給与の総額をその期間の総日数で除して算定する方法です。
この計算は、過去3月間の給与の全部又は一部が、勤務した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制によって定められている場合の特例的な計算方法です。この計算の趣旨は、給与が日給、時間給又は出来高給によって計算される場合には、実際に勤務した日数によって受ける給与の額が左右されるので過去3月間に勤務できなかった日が多いときは、原則計算による平均給与額は著しく低くなって公正を欠くことになります。したがって、このような場合を救済するために最低保障が設けられています。
すなわち、
<1>、<2>により計算した額が、原則計算によって得た額より高額の場合は、これらの額が平均給与額となります。この場合、「勤務した日数」には、過去3月間において現実に勤務した日だけではなく、有給休暇のように勤務はしないが、勤務した場合と同様に給与が支払われる日も含まれます。
これは過去3月間に本人の責めに帰すことのできない事由等によって勤務することができなかった期間がある場合の特例的な計算方法です。
その趣旨は、このような事情により勤務しなかった期間は給与が通常に比して減少しているか、又は支給されていないため、この影響を平均給与額の計算に際して除外し、通常の勤務に従事していた部分のみによって算定して職員に不利にならないよう配慮したものです。
すなわち過去3月間に
がある場合は、その日数及びその間の給与は、その期間及びその給与の総額からそれぞれ控除して平均給与額を算定することとなりますが、原則計算によって得た額の方がこれより多い場合はその額が平均給与額になります。
これまでの方法で、ほとんどの場合の平均給与額が算定できるが、過去3月間の全日数にわたり勤務することができず、無給であった場合等は、適正な平均給与額を算定することができないので、このような特殊な場合における算定方法が定められています。
これらの場合においては、次に述べる期間に支払われた給与の総額をその期間の総日数で除して算出します。
支払われた給与の総額とは、算定期間の勤務に対し給与法令上支払われるべき給与をいい、支払われた給与の総額に月額で定められている給与が含まれている場合には、その月額(休職等により本来の給与の月額の一定割合を支給することとされている場合にあっては、その割合による額)を、その期間の属する月の総日数から勤務を要しない日の日数を差し引いた日数で除して得た額にその期間の総日数から勤務を要しない日の日数を差し引いた日数を乗じて得た額(その期間内の欠勤等を理由として給与が減額された場合にあっては、その額から減額された給与の額に相当する額を差し引いた額)を当該給与の額として計算します。
これまでの各計算方法は、いずれも現に支払われた給与の額を基礎として行うものでしたが、この計算は現実に支払われたと否とにかかわらず災害発生の日において給与法令上その職員について決定されている基本的給与の額を基礎とするものです。
その給与の種類及び額は、<1>給料の月額、<2>扶養手当の月額、<3>給料及び扶養手当の月額に対する地域手当の月額、<4>特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)の月額並びに<5>へき地手当(これに準ずる手当を含む。)の月額又はこれらに相当する給与の月額であり、これらの合計額を30で除して得た額を平均給与額とするものです。
上述の(1)及び(2)の平均給与額の計算は、災害発生の時点において行うものであり、したがって、この平均給与額は災害発生当時に行う補償の基礎としては妥当なものということができますが、例えばその災害により療養が長期間継続した後に傷病補償年金若しくは障害補償等の支給がなされる場合、その算定の基礎に当初の平均給与額を用いるのでは、その間のベースアップ等による給与水準の変化等を考慮すれば必ずしも妥当といえず、他との均衡上公正を欠く場合も出てきます。
そこで、これらの不均衡を防止するために、補償を行うべき事由の生じた日を採用の日とみなして平均給与額を計算し、この額が上述の(1)及び(2)の計算によって得た額よりも高額となる場合には、この額を平均給与額とすることとされています。
その職員が離職当時に占めていた職に引き続き在職していたとするならば補償事由の生じた時点において受けることとなる基本的給与(仮定給与)の額を基礎として算定された額を平均給与額とすることとされています。
具体的には、離職時の等級号給を固定し、かつ、離職後は扶養親族の異動はなかったものとした給与とし、補償を行うべき事由の生じた日までの間に施行された条例等の定めにより算定します。
(注)<1> 補償を行うべき事由の生じた日とは
<2> 補償を行うべき事由が生じた日を採用の日とみなして計算するものですが、現実の採用でないので、扶養手当の月額はそのまま計算の基礎とすることができます。
上述の(1)~(3)までの計算方法によれば、あらゆる場合の平均給与額が決定されるはずですが、それでもなお決定できない場合、又は決定したとしてもその額が公正を欠く場合の取り扱いについては、他の職員との均衡等を考慮して、基金が定めるものとされており、現在その主なものは次のものがあります。
補償の請求を行うのは、被災職員又はその遺族であり、したがって療養補償及び介護補償を除く各種補償の請求書に添付する平均給与額算定書についても、その内訳は請求者が記載してその所属部局の長に証明してもらうという形式がとられていますが、実際には、所属部局において記載し、その長の証明をつけるということが適当と思われます。(記載例16参照)
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